注文住宅の予算の決め方【年収別目安・無理のない借入額の考え方】

「注文住宅の予算って、どうやって決めればいいの?」

「年収の何倍まで借りていいの?返済が苦しくならないか心配」

住宅ローンは「借りられる額」と「無理なく返せる額」は別物です。

銀行が審査で「貸せる」と判断した額より、自分の生活に合った「返せる額」を軸に予算を決めることが重要です。

この記事では、注文住宅の予算の決め方を年収別の目安も含めて解説します。


予算の決め方の基本:2つのアプローチ

予算の決め方には2つのアプローチがあります。

アプローチ① 「借りられる額」から考える(NG)

銀行の審査基準をもとに「最大いくら借りられるか」を計算して予算を決める方法。

→ NG。借りられる額は生活水準・子育て費用・老後資金を考慮していないため、借りすぎリスクがある。

アプローチ② 「返せる額」から考える(推奨)

毎月の手取り収入・生活費・貯蓄目標をもとに「無理なく返せる月々の返済額」を決め、そこから借入総額を逆算する方法。

→ 推奨。生活の実態に合った予算が組める。


「無理のない返済額」を決めるための考え方

返済負担率(返済比率)を使う方法

返済負担率 = 年間返済額 ÷ 年収

金融機関は「35〜40%以内」を目安にしていますが、実際の生活では20〜25%以内が無理のないラインです。

年収安全な年間返済額(25%以内)月々の返済額目安
300万円75万円以内6.2万円以内
400万円100万円以内8.3万円以内
500万円125万円以内10.4万円以内
600万円150万円以内12.5万円以内
700万円175万円以内14.6万円以内
800万円200万円以内16.7万円以内

手取りベースで考える方法(より現実的)

返済負担率は「年収(総支給額)」ベースで計算しますが、実際に使えるのは「手取り」です。

目安:手取り月収の30%以内が安全ライン

手取り月収返済額の目安(30%以内)
20万円6万円以内
25万円7.5万円以内
30万円9万円以内
35万円10.5万円以内
40万円12万円以内
50万円15万円以内

年収別・借入可能額と推奨借入額の目安

年収銀行の借入可能額(目安)推奨借入額(無理のないライン)
300万円1,800万〜2,400万円1,500万〜1,800万円
400万円2,800万〜3,200万円2,000万〜2,400万円
500万円3,500万〜4,000万円2,500万〜3,000万円
600万円4,200万〜4,800万円3,000万〜3,600万円
700万円4,900万〜5,600万円3,500万〜4,200万円
800万円5,600万〜6,400万円4,000万〜4,800万円

「推奨借入額」は月々の返済額が手取りの30%以内になるラインの目安です。

金利・返済期間・他のローン状況によって変わります。

とまと君「銀行が「貸せる」って言ってくれる額より、実際に借りるのは少なめにした方がいいんか。」 とま子ちゃん「そうやで。銀行は「年収×7〜8倍まで貸せる」って計算してるけど、それを全額借りたら返済が苦しくなる可能性が高い。教育費・老後資金・修繕費……住宅以外にもお金は必要やから、余裕を持たせた額を借りることが大事やで。」


予算を決めるための5ステップ

ステップ① 手取り月収を確認する

世帯の手取り月収を正確に把握します。

共働きの場合は「二人の手取り合計」ではなく「どちらかの収入が減っても返せるか」を考慮することが重要です。

育休・産休・転職・介護などで収入が下がるリスクを事前に想定しておきましょう。

ステップ② 「無理なく返せる月々の返済額」を決める

手取り月収の25〜30%を返済に充てられる金額として設定します。

例:手取り30万円の場合 → 月々7.5万〜9万円

この段階では「いくら借りるか」ではなく「月々いくら返せるか」を先に決めます。

ステップ③ 借入総額を逆算する

月々の返済額から、借入総額を逆算します。

月々8万円を返済する場合の借入総額(30年・金利1%想定)

月返済8万円 → 借入可能総額 約2,500万円

簡易計算の目安(30年・金利1%)

  • 月7万円 → 約2,200万円
  • 月9万円 → 約2,800万円
  • 月11万円 → 約3,400万円
  • 月13万円 → 約4,000万円

ステップ④ 自己資金を加える

ステップ③の借入額に、頭金(自己資金)を加えたものが「住宅購入に使える総額」です。

住宅購入総額 = 借入額 + 自己資金(頭金)

ただし、諸費用分(総費用の5〜10%)は現金で確保しておく必要があります。

ステップ⑤ 土地・建物・諸費用に配分する

住宅購入総額を「土地・建物・諸費用」に配分します。

例:総予算3,500万円の場合

  • 諸費用分:350万円(現金確保)
  • 土地代:1,000万〜1,500万円
  • 建物代:1,650万〜2,150万円

「金利上昇リスク」も考慮する

変動金利でローンを組む場合、将来的な金利上昇にも備えが必要です。

金利が上がった場合の月々の返済額の変化(例:3,000万円・30年返済)

金利月々の返済額
0.5%約8.7万円
1.0%約9.6万円
1.5%約10.4万円
2.0%約11.1万円
3.0%約12.6万円

「今の金利で月9万円返せる」としても、金利が2%になれば月11万円以上になります。

金利上昇を想定した「ストレステスト」を事前に行い、金利が上がっても生活が維持できるかを確認しておきましょう。


ライフイベントによる支出変化も考える

住宅ローンは35年前後の長期にわたります。その間にさまざまなライフイベントが発生します。

ライフイベント想定される出費の増減
子どもの教育費(小中高大)増加(500万〜1,000万円/人)
車の購入・維持費増加
親の介護費用増加(将来的に)
老後資金の確保必要
住宅のリフォーム・修繕費増加(10〜20年後)

こうしたライフイベントを考慮した「長期の家計シミュレーション」をFP(ファイナンシャルプランナー)に依頼することをおすすめします。


予算設定でよくある失敗パターン

① 「今の家賃と同じ額で返せる」と思って借りすぎる

家賃と住宅ローンは違います。住宅ローンには「修繕費・固定資産税・保険料」が加わります。

これらを含めると、家賃と同額でも実質的な住居費は増加します。

② 共働き前提で借入額を決める

どちらかが育休・介護休業・転職などで収入が下がることを想定していないケースが多いです。

「一人の収入でも返せる額」を基準にする考え方が安全です。

③ 「今の金利」だけで計算する

変動金利が低水準の今、「低金利が続く前提」で借りすぎると、金利上昇時に返済が苦しくなります。

④ 諸費用・外構費を予算に入れ忘れる

「建物代だけで予算を決めていたら、諸費用・外構費が払えなかった」は典型的な失敗例です。


まとめ:予算は「返せる額」から逆算して決める

注文住宅の予算の決め方のポイントをまとめます。

  • 「借りられる額」ではなく「返せる額」から逆算する
  • 月々の返済額は手取りの25〜30%以内が安全ライン
  • 年収別の推奨借入額を参考にする
  • 金利上昇・ライフイベントによる支出増加も考慮する
  • 諸費用・外構費・家具費などの追加費用も予算化する
  • FPへの相談で「長期の家計シミュレーション」を作成する

「今返せるかどうか」だけでなく「10年後・20年後も返せるかどうか」まで考えた予算設定が、住宅ローンで後悔しない鉄則です。

とまと君「FPへの相談って、お金かかるよね?」 とま子ちゃん「無料相談のFPもたくさんいるで。ハウスメーカーに連携のFPを紹介してもらうか、住宅金融支援機構や保険会社の無料相談窓口を使う方法もある。「タダで相談できる」から、ぜひ活用してみてね。」


「予算の決め方」でよくある失敗ケーススタディ

ケース①:共働き前提で最大額まで借りた夫婦

年収夫500万円・妻400万円の合算で合計年収900万円として審査し、5,000万円のローンを組んだケースです。

その後、妻が育休を取得し1年間収入がゼロに。月々の返済額は妻の復帰後に元に戻ったが、育休中の家計が非常に苦しかった。

教訓:「合算年収で最大限借りる」は危険。片方の収入が止まっても返せる額に抑えることが重要。

ケース②:変動金利を「今後も低いはず」と信じて全額変動にした

借入時の金利0.4%で計算し、月々の返済額9万円で計画。

数年後に金利が1.5%に上昇し、月々の返済が11万円に増加。当初計画との差額2万円×12ヶ月=年間24万円が想定外の負担に。

教訓:変動金利は上昇リスクがある。金利2〜3%になっても返せるか事前にシミュレーションしておく。

ケース③:建物代だけで予算を計算し諸費用が払えなかった

「3,000万円の家を建てる。自己資金300万円を頭金に、2,700万円のローンを組む」と計画。

しかし諸費用(350万円)・外構費(150万円)が別途必要と判明。自己資金300万円では諸費用も払えない状況に。

教訓:「諸費用(総費用の5〜10%)を現金で確保してから、残りで頭金を考える」が正解。


予算の「見える化」ツールの活用

住宅購入の予算計画には、以下のツールの活用がおすすめです。

FP(ファイナンシャルプランナー)への相談

無料のFP相談サービス(保険会社・証券会社・住宅金融支援機構など)を活用して、長期的な家計シミュレーションを作成してもらいましょう。

「30年後まで、住宅ローン返済・教育費・老後資金を含めた家計のシミュレーション」が一番参考になります。

住宅金融支援機構の借入可能額計算ツール

住宅金融支援機構(フラット35の運営機関)が無料で提供する借入可能額シミュレーションツールを使うと、年収・返済期間・金利を入力するだけで「借入可能額の目安」が確認できます。

ハウスメーカー・工務店の資金相談

多くのハウスメーカー・工務店は無料の資金相談会を実施しています。

「総費用はいくらになるか」「毎月いくら返すことになるか」を実際の見積もりをもとに確認できます。


まとめ:注文住宅の予算は「5つのステップ」で決める

注文住宅の予算決定のポイントを最終的にまとめます。

予算の決め方 5ステップ

  1. 手取り月収を確認する(世帯全体)
  2. 無理なく返せる月々の返済額を決める(手取りの25〜30%以内)
  3. 借入総額を逆算する(月々返済額から計算)
  4. 自己資金を加えて住宅購入総額を出す(諸費用分は現金確保)
  5. 土地・建物・諸費用に配分する

NG思考パターン

  • 「銀行が貸してくれる額まで借りる」
  • 「今の家賃と同じ返済額なら大丈夫」
  • 「共働きの収入合算で最大限借りる」
  • 「今の金利だから大丈夫」
  • 「諸費用は何とかなる」

この5つのNGを避け、5ステップで「本当に無理のない予算」を設定することが、住宅ローンで後悔しない家づくりの基本です。

とまと君「予算決めって難しそうやったけど、ステップを踏んで考えたら整理できそうやな。」 とま子ちゃん「そうやで。「どこから考えればいいかわからない」という人が多いけど、「手取りの何%まで返済に使えるか」から逆算するだけでシンプルになる。焦らず、FPや担当者と一緒に「自分たちの現実的な予算」を見つけていってな。」


予算計画で「やっておいてよかった」ことベスト3

実際に注文住宅を建てた施主の声をもとにした、予算計画で特に効果的だったことをまとめます。

第1位:FP(ファイナンシャルプランナー)に相談した

「FPに長期家計シミュレーションを作ってもらったことで、教育費が重なる10年後のキャッシュフローを事前に把握できた。この確認がなければ無理な借入をしていた」という声が最も多いです。

FP相談は保険会社・証券会社・住宅金融支援機構のほか、ハウスメーカー提携のFPでも無料で利用できる場合があります。

第2位:頭金を使い切らず「諸費用分を現金確保」してから計画した

「諸費用を諦めて全額ローンを組もうとしたが、事前にFPに相談して現金300万円を確保してから頭金を決めた。これで心理的な余裕が全然違った」という声があります。

第3位:変動金利上昇時のシミュレーションを事前にした

「金利1%・2%・3%での月々の返済額をシミュレーションして、2%になっても生活できると確認してから変動金利を選んだ」という声です。

「今の金利で返せるか」だけでなく「金利が上昇しても返せるか」を事前確認することが、長期ローンで安心して過ごすための基本です。

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